トップへ 他のレポ−ト No.4 Webレポート 【ノロウイルス対策】


家族を守る ノロウイルス対策 (2011年1月号No.261より)

大部分は人から人への感染
 ノロウイルスというと、生カキによる食中毒のイメージが強いのですが、一番危険なのは生カキではなくて実は人。 ノロウイルスは貝の中では殖えず、人の腸内で増殖するウイルスです。 感染者の便1gには1億個、吐物には1gあたり100 万個のウイルスがいます。 それらが下水から海に流れ、貝に残留して再び人が感染します。わずか十数個でも感染するといいますが、感染した人の誰もが発症するわけではありません。 体力のある人は感染しても発症せず、ウイルスを排出します。  つまり、元気なウイルス保有者が多くなると、ウイルスを広域にばら撒き、「人→人」「人→食品→人」と、ノロウイルスの患者が爆発的に増えていくことになります。  冬の下痢やおう吐は、人が原因のノロウイルスによるものが多いのです。
 「感染性胃腸炎」は多種多様の原因による症候群の呼び名ですが、その大半がノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスが原因です。


手洗い・うがいを忘れず
 寒いとノロウイルスが長生きします。乾燥すると空中に浮遊し長く生き続けます。
どこかで、ノロウイルスが手についているかもしれません。
食事前やトイレの後はもちろん、外から帰ったときの手洗いとうがいを習慣にしましょう。
 昨年の発生が少なかったのは、新型インフルエンザ対策でうがい・手洗いが徹底されたからではないかとも言われています。
普通の石けんと流水を使って、指先や指の間、手首など、洗い残しがちなところを意識して洗います。


調理器具の殺菌も
 ノロウイルスは冷凍状態から60℃まで生存可能です。
まな板、包丁、食器、フキンなども使用後すぐに洗って、熱湯(85℃以上)で1分間以上消毒します。 フキンなどの殺菌は、水分を含ませてからポリ袋に入れて電子レンジで熱すると簡単に殺菌できます。


二次感染を防ぐ注意

◆吐物を片付けるとき
 まず手袋、マスク、エプロンなどで身支度を。
換気のために窓を開けますが、空気が食堂や台所へ流れないように注意します。
汚物が服に付かないように注意しながら、使い捨ての布・ペーパータオルなどですべて拭き取ります。
汚物を拭き取ったら、熱湯で消毒します。
汚染された部分より広くかけ、 いったん拭き取ってから熱湯をかける作業を数度行って十分に熱を加えます。
アイロン、スチーム掃除機を使って代用することもできます。
畳は中に汚物が入り込むので、特に念入りに消毒します。
汚物処理に使用した布やペーパータオル、手袋などはポリ袋に入れ、密封して燃えるゴミに出します。
 片づけが終わったら、ポリ袋をしていた手もよく洗って、服も着替えましょう。
ウイルスが残っていると、微細なチリを排出する掃除機の使用によって、排気からいつまでも部屋中にまき散らかされることになります。


◆洗濯のときもマスクを
 汚物で汚れた衣類を洗濯するときは、汚物を使い捨ての布などで拭き取ってから、 たっぷりな熱湯に浸して消毒し、ほかの衣類と分けて洗濯します。
 マスクをして、ウイルスを吸い込まないように注意しましょう。


◆症状が治まっても注意!
 10日後でも患者の約半数がウイルスを保持しています。
トイレの床、内側・外側のノブ、便座、蛇口などを頻繁に掃除しましょう。
 感染者が排便のときには、使い捨ての手袋を使用するのも一つの方法です。
 乳幼児が感染者の場合は、オムツ交換後にすばやく手洗いを十分にしましょう。


発症したときの注意

 潜伏期間は24〜48時間で、主な症状はおう吐、下痢、腹痛。熱は高く出ません。これらの症状が1〜2日続いて治ります。
人によっては軽い風邪のような症状のときもあります。
薬を飲んでも、症状が出ている期間が短くなることはありません。
下痢止めは回復を遅らせるので、使うのをやめましょう
吐き気止めの薬は、効かないのに、振戦(筋肉の震えの動きの一種)などの神経症状の副作用が出ることがあるので、
飲まないほうがいいと「てらさわ小児科」寺澤政彦先生は警告します。
 吐き気止めに先生がオススメしているのは漢方薬の五苓散(ごれいさん)です。
下痢、おう吐によって急激に水分が失われるので、脱水症状に気をつけます。
のどが渇いたからと水だけ飲んでいると、脱水とナトリウム欠乏は悪化します。
みそ汁や塩味のスープ、『無添加白だし』を薄めたものなどを少しずつ飲みましょう。
特に乳幼児や高齢者は、吐き気が止まったらすぐに水分の補給をします。
入院や点滴が必要になるのは脱水とナトリウムの欠乏が重症のときです。
下痢は点滴よりも、自分で口から食べた方が早く回復します。

月刊誌『食品と暮らしの安全』2011年1月1日発行 261号より

〈感染の予防法〉
予防の第一は徹底した手洗いです。下図を印刷して洗面所に貼っておきましょう。 手洗い

〜関連情報〜

排気の汚い掃除機を使うことは止めよう!

排気のノロウイルスで胃腸炎(月刊誌「食品と暮らしの安全」2006年9月号No209)

子どもの下痢のときの食事は?(月刊誌「食品と暮らしの安全」2004年12月号No188)

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