代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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栄養不足の原因をつくったのは医師 安全基金の活動と考え方(89)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


  「医師と一緒にウクライナ調査をすべきだ」
と何人もの方から、ご意見をいただいていました。
私も、できればそうしたかったのですが、「微量放射能で出る痛みを調べてくれる医師がいますか?」というのが回答です。
 ウクライナには、「痛み」を訴える子が多いことを第3回の調査で見つけたので、調査データを添えて、 放射線研究センターでチュマク所長に話すと、ニコニコしながら「ライフスタイルが変わってゲームばかりするようになったことと、 栄養が足りないせいです」と言われました。  今回、うまく歩けるようになったミーシャは、面長だったのに、顔が丸くなるほど太っていたので、栄養不足の面があったことは間違いありません。  しかし、牛乳と肉で、肢体不自由の症状が良くなることはありません。体内の放射能が減ったから良くなったのです。 問題は、なぜ栄養が足りなかったかです。今回の報告にあったように、 体調の悪い子がいる家庭は、医者代、薬代、入院費が必要で、自給生活で所得の少ない家は、非常に貧しくなっていたのです。  今回、コヴァリン村で調査した子どもたちを診ている医師と話す機会がありました。
治療しても良くならなかった子どもが、食事を変えたら治ったというのに、放射能のことはあまり気にしていません。
「このような調査を行うには、まず医師が必要です」と言い、「まず、子どものタンパクを測定する」などと言うのです。
足が痛くて泣き出した子や頭痛で寝られない子には鎮痛剤、肌がかゆかったら軟膏、風邪を引いたら入院させてビタミン剤などという治療を行っていたのに、 何の反省もしていません。
 放射能で症状が出ていたのに、医師が治せないから、治療費がかさんで貧しくなり、栄養不足が加わったのです。 そのことに診察していた当人は気づいていません。

 では、日本はどうでしょうか。
 福島で避難生活をしている人が、医師に「疲れて、頭痛がする」と訴えると、「避難生活でストレスがたまっているのですよ」と、
薬と栄養剤が処方されますが、「放射能の少ない食事をするように」とは言われないでしょう。
 『医者があなたに言わないこと』を連載中の寺澤政彦医師は、症状が出た原因は何かを突き止めようとします。
原因を取り除けば再発しないので、原因を除去できる医師が名医なのです。
しかし、そういう名医はめったにいません。
 食品の現行基準は論外で、検出限界以下の微量放射能が含まれた食品を摂り続けると、 さまざまな症状が出ることが、今回の調査で判明しました。
そして、このことを3013年6月の国際学会で発表します。
 微量放射能でいろいろな症状が出ることが医師の常識になれば、見落とせば「誤診」になります。
そうなれば、福島はもとより、関東や東北の汚染地域で、その地域の食品をよく食べている人も救われるので、 今月号(5月号)の情報を、みんなで広げてください。


2013年5月1日発行 No.289より

安全基金の活動と考え方(90)「日本が大好きになる被害調査を」

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