食品と暮らしの安全基金代表 小若順一
全国民を1人2万2千円の保証人にして、日立製作所が破綻しそうな原発をイギリスに造る計画が進められています。
日立は2012年に、イギリスの原子力事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを、 ドイツの電力会社から約900億円で買収し、
イギリス西部のアングルシー島に原発2基を新設して、2020年代前半に稼働させることを目指して計画を進めています。
ホライズンを買収したときの日立社長は 川村隆氏で、日経新聞「私の履歴書」では、東大 に原子力工学科がなかったので、原子力に一番 関係の深い電気工学科に進み、卒論は原子力、
日立に入って国産1号原子炉を島根原発1号 炉に導入しています。福島で原発事故が起きても「日本は原子力 エネルギーに頼らざるを得ない国」という筋金入りの原発推進派。
大被害を知りながらイギリスで原発会社を買った川村氏が、昨年6月、東京電力ホールディングスの会長に就任し、
「50年以上先の電力供給などを踏まえ」と、福島第二原発の 廃炉を避け、新潟県の柏崎刈羽原発は再稼働を目指し、
福島第一原発で保管されてい るトリチウム(三重水素)を含む処理水も海洋放出する立場で、
国へ責任を押し付けるように動いています。
イギリスでの事業費を日立は3兆円程度と見積もっていますが、2基に3兆円もかけたら、電力料金が高くなってペイしないはず。
3兆円と出た時点で、普通ならボツです。
ところが、日立は出資を1500億円に抑え、残りは、日英両政府が官民で3兆円を融資し、それに日本政府が保証を付け、
イギリスの 電力会社から高値で電力買い取り保証を取り付ける、というのです。
三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクの融資総額が5000億円。国際協力銀行(JBIC)を含む銀行団が1兆円。
浜岡原発に日立の原子炉を導入した中部電力と日本原子力発電にも融資させ、東京電力にも資金を出すように働きかけていると
日経、毎日、朝日新聞が報じています。
民間の融資は、政府が全額出資する日本 貿易保険が債務保証するので、東芝のように事業が破綻しても損はありません。
損するのは 国民だけ。
こんな手厚い政府支援は異例なので、安倍首相が指示するかOKしていないとできませんが、まだその報道はありません。
この情報が出て来れば、森友・加計疑惑より桁違いに 大きな問題になります。
こんなことが報道されているとき、皮肉にも 日立の中西宏明会長が経団連の次期会長に決まりました。
正式に選出されるのは5月31日の定時総会です。
川村氏が日立会長だったときに社長だった のが中西氏。この2人で日立を再建しました。
日立出身者が経団連と東電の会長になると、日立の事業に、国が3兆円ほど保証し、破綻したら国民から搾取する見返りに、
経団連が 自民党に巨額献金するという贈収賄と同様の構図が、誰でも見える国になり、
日本はまともな民主国家ではなくなります。
今から日立製品の不買運動を準備しておきましょう。
2018年2月号No346より