代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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高断熱で快適・省エネの健康住宅を 安全基金の活動と考え方(143)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 シックハウスが社会問題になっていた1990年代後半に、 エコロジー建築家や、エコ建築にかかわっている人に集まってもらい、 『健康な住まいを手に入れる本』を制作して発行したのが1997年です。
 エコ建材のリスト・価格・販売者を載せたので、この本は売れ続けて時代を変え、 それに伴って増補改訂、増補3訂を出しました。  そして、建築基準法が2002年に改正され、大手業者もシックハウスに対応しました。  2003年に法律が施行されると、健康被害者は激減。その後も被害は出続けていますが、当時は桁違いに多かったのです。

 この間に「外断熱」が出てきて、いいことだらけだったので一緒に取り組みました。  浜岡原発の反対運動として、事故のときに逃げられない東京から、埼玉に事務所を移すことにして、 ベストセラーの印税で土地を買い、屋上緑化の外断熱ビルを目指しました。  ところが、この土地は建築制限がかかっていたので、小さなビルと木造の複合建築に変更。 それでも費用が高くて、ビルを断念。  共著者で一級建築士の相根昭典さんにコンサルティングを依頼し、木造建築にしました。 だから事務所は外断熱ではありません。

 建物は長方形。外側は12pの4寸柱を用い、壁の中にできる空間にウールの綿を入れました。断熱の厚さは10cmです。 このウールはオーストラリア産羊毛をホウ酸処理して虫がつかないようにしたもの。  壁の中には筋交い・配線・配管が入っていますが、綿なら隙間に詰め込めます。
 事務所はすべて天然ムク材なので収縮して少し梁がねじれた部分もありますが、 ウールはこういう変形にも対応します。 ロックウールは、素材が岩のいい断熱材ですが、作業者がチクチクするというので使いませんでした。  素材がガラスのグラスウールは、発ガン性の疑いがあるので使いません。  発泡プラスチックの板は軽くて安いのですが、壁の中に入れると、すき間ができます。  ここが結露すると家が傷み、そこにダニが発生するとシックハウスになります。  発泡プラスチックを吹き付ける工法は、プラスチック臭が出ます。 アルミシートを貼り、その内側に発泡プラスチックを吹き付ける工法だと、臭いはすべて室内に出るので、住人が病気になります。

 事務所の窓はペアガラス+障子。想像以上に断熱性能が良くて、計算上は10基必要なエアコンを6基ですませましたが、 実際に使うのは、冬は2〜3機です。  11月下旬から2月までは、1階のエアコン1機をつけっぱなしにし、 勤務時間に2〜3機を追加します。1・2階の各1機を動かしたとき、外気温が0度だと、1階は17度、2階は19度、3階は21度。  ただし、1階は足元が寒く、通販商品の受発送でドアがしばしば開くため、もっと温度の低いことが多いのです。 今なら、ガラスで仕切ってドアを付け、床下には断熱した密閉空間を作り、エアコンで1階も2・3階と同じ床暖房にします。

 耐震補強などで家を改修するときは、断熱も強化して快適な省エネの家にしてください。

2018年3月号No347より

安全基金の活動と考え方(144)『再エネへの補助金をやめさせよう』

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