代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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東京―新大阪の料金を半額に 安全基金の活動と考え方(110)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 リニア中央新幹線の建設を止めるには、「実利」の新しい発想が必要です。 昨年10月、リニア新幹線の品川―名古屋間の工事計画を、太田昭宏国土交通相が認可。 大量の残土処分、環境対策、安全性、資金面も問題ないと判断されたので、J R東海は、今年から工事を始めます。

 総事業費は5兆5,235億円。これらすべてをJR東海が負担し、現在の新幹線の儲けを注ぎ込んで、リニア新幹線は建設されます。
営業開始は2027年で、品川―名古屋の運賃は11,480円の予定。 新幹線のぞみの700円増しですが、価格差が700円なら、客は新幹線から早いリニア新幹線に乗り換えるだけで、2つの新幹線の合計客数はほとんど増えません。 日本は人口が減少しているので、合計客数は、現在の新幹線の客数より減っているかもしれません。

乗客が増えないのに、莫大な工事費をかけて、もう一つ新幹線を建設するのを、民間企業のJR東海が単独で行うのは、経営的な合理性がありません。
それなのに、JR東海が建設を申請し、それが認可された理由は何でしょうか。

 それは、新幹線を2本にしても維持できるほどJR東海が儲かっていることと、天下り先を確保したい国土交通省の思惑が一致したからです。 両者が手を組んで、巨大な利益を表面化させないようにリニア新幹線を推進する、というのが本当の構図です。
 ぼろ儲けが、なぜ問題にならないのかを、「やさしい経済解説」の西和久さんに聞くと、 「一応、民間企業であるJR東海の儲けすぎを、経済関係の記者は非難するスタンスをとれません。 それどころか、国に代わってリニアを敷設するというヒーロー的な見方さえあります。 JR東海の決算をみると、売上高営業利益率は29.9%(2014年3月期)もあり、日本企業としては驚くべき高さです。 普通の製造業は、5%そこそこですから、やはりぼろ儲けですね」。

 他の交通機関と競争しているなら、ぼろ儲けしてもいいのでが、東京―新大阪の旅客をほぼ独占して儲けていることが問題です。 航空機の羽田−大阪の旅客は年間500万人。
新幹線は、東京―新大阪を年間1億5千万人が利用しているので、30倍多いのです。
1人当たり5,000円が独占による過剰利益とすれば、年に7,500億円の過剰利益が生まれます。 これをリニア新幹線の建設に注ぎ込めば、JR東海が単独で事業を推進しても、まだ余り、 関連会社に国土交通省の役人を天下りさせることができるわけです。

そんな理不尽な、と思われるかもしれませんが、13万人以上が家を追われて帰れず、 国土が放射能で汚染されても、まだ原発を推進して、おこぼれの利益をもらおうとする国民と政治家が多いのが、現在の日本です。
 大量に残土が積まれても、南アルプスが水の抜けた死の山になる県の、県民の多くは、リニア推進派に1票を投じました。

「東京 〜 新大阪の新幹線料金を半額に」という実利の旗を立て、 世論を高めて、料金半額を実現させれば、リニア中央新幹線は自動的に止まります。

2015年2月1日発行 No.310より

安全基金の活動と考え方(111)『健康食品の大革命』

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