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>>日本茶が危ない!(2018/11月号No355)
>>「減農薬」に多量残留(2018/10月号No354記事)
>>懸念される環境、人への影響(2018/5月号No349)
汚染進む日本列島
神経に作用し子どもの心を凶暴にするネオニコチノイド系殺虫剤。
この危険な農薬汚染の実態が、次々と明らかになってきました。
農薬業界に甘い政府の姿勢が、子どもたちの健康を着実に蝕んでいます。
ハチミツから高濃度で検出
「日本各地のミツバチやハチミツが、ネオニコチノイドに広く汚染されている」。
千葉工業大学の研究チームが最近、こんな報告書をまとめました。
ネオニコチノイドの自然環境や養蜂業への影響は以前から指摘されていましたが、 実際にミツバチの汚染状況を調べた例は国内ではほとんどなく、ハチミツの分析もあまり行われてこなかったということです。
ネオニコチノイドは稲や野菜、果物の害虫駆除のために使います。ネオニコチノイドを撒かれた植物は、花蜜も汚染され、 その蜜から作られたハチミツや、蜜を採取したミツバチの体にまで汚染が及びます。
今回、研究チームは、北は岩手から南は沖縄まで、9都県でハチミツ製品、ミツバチ、 さなぎのサンプルを収集。クロチアニジン、ジノテフランなど6種類のネオニコチノイド系農薬の残留量を調べました。
その結果、73のサンプルすべてでネオニコチノイドを検出。
ハチミツ中の残留濃度は1gあたり平均約25ナノグラム(ナノは10億分の1)で、最高は351ナノグラム。 ハチミツはネオニコチノイド系農薬の残留基準はありませんが、他の農薬の暫定基準値を当てはめると、
28サンプル中、6割超の18サンプルが基準値超えでした。
成虫で濃度が最も高かったのは、養蜂バチの10.6ナノグラム。野生のハチからも最高9.4ナノグラムが検出されました。
科学的データが示されたことで、2005年ごろから各地で起きているミツバチの大量死や数の減少が、ネオニコチノイドのせいである可能性が一層強まりました。
研究チームの亀田豊准教授は、「農薬によっては48時間でミツバチの半数が死ぬとされる濃度を超えていた。 野生のミツバチからも高濃度で検出され、既に影響が出ている可能性もある」と新聞にコメントしています。
小松菜、白菜なども酷い
野菜の汚染も酷い状況です。
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)は昨年、ネオニコチノイド系7種類と、ネオニコ系同様に植物の体内に浸透して作用する農薬2種類、
計9種類の農薬について、市販の小松菜、ホウレンソウ、白菜、レタスへの残留量を調査。
結果は、東京や大阪などのスーパーから集めた30サンプル中、20サンプルから、1種類以上の農薬を検出。 国の残留基準を超えたものはありませんでしたが、日本より厳しい欧州連合(EU)の基準を上回ったものが8サンプルありました。
野菜は、ハチは食べませんが、人は大量に食べます。ネオニコチノイドの主成分は、タバコの有害成分であるニコチンに似た化学構造を持つ神経毒で、
人の体内に入ると、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを妨害し、脈の異常や頭痛、短期の記憶障害など様々な症状を引き起こします。子どもが凶暴になるとの報告もあります。
発達障害児増加の原因にも
ネオニコチノイドは、子どもの発達障害の原因としても疑われています。
発達障害を引き起こす主原因は、脳の正常な発達に欠かせないミネラルの摂取不足ですが、ネオニコチノイドも微妙に影響を与えていると考えられています。
理由は、第1に、ネオニコチノイドは脳の働きに影響を与える神経毒であること。第2に、小さな子どものほうが、大人に比べて化学物質の影響を受けやすいことです。
これまでの研究で、ネオニコチノイドを摂取すると、たとえ1日摂取許容量を下回るわずかな量でも、母体を通じて胎児の脳の発達に影響を与える可能性が指摘されています。
ネオニコチノイドに詳しい黒田洋一郎・環境脳神経科学情報センター代表は、専門誌『科学』の今年4月号で、 「低濃度だけで見られる影響は、いままであまり調べられていなかったが、最近続々と発達神経毒性が証明され始めた」と述べています。
「企業ファースト」の日本政府
ネオニコチノイドの危険性が認識されるにつれ、世界的に規制強化が進んでいます。 EUは2013年12月、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種類について、安全性が確認されるまで使用を禁止することをいち早く決定。
翌2014年2月、韓国の農村振興庁は、EUが禁止した3種類について、EUが最終評価を出すまでは、国内の新規登録や変更登録を制限すると発表。
2015年4月、アメリカの環境保護庁は、4種類のネオニコチノイド系農薬について新たな使用法を当面、認めない方針を公表。
直近では、フランス議会が昨年、ネオニコチノイド系農薬を2018年9月に全廃する法案を可決しました。
これに対し日本の厚労省は、2011年にイミダクロプリド、2015年にクロチアニジン、アセタミプリドの食品残留基準を相次いで緩和。
欧米に比べてもともと緩い残留基準が、一段と緩くなっています。
この結果、国内流通量は、2014年までの4年間で、クロチアニジンが2.1倍、ジノテフランが2.7倍(いずれもabt推計)となるなど、大幅増。
「企業ファースト」の政府自民党は、農薬メーカーを儲けさせるために、世界の流れに逆行し、ネオニコチノイドの使用拡大に突っ走っているのです。
食べるなら有機、無農薬を
政府が守ってくれなければ、自分や家族の健康は自分で守るしかありません。
ネオニコチノイドは植物の体内に浸透後、しばらくすると代謝されますが、 その代謝物の中には元の物質より強い毒性を持つものがあることが知られています。
ですから、残留検査で検出されなかったからと言って安心はできません。
また、検出値が基準値以下だからといって、化学物質の影響を受けやすい小さな子どもにも安全とは限りません。
危険なネオニコチノイドの摂取を避けるためには、野菜やコメなどの農産物は、有機や無農薬のものを選ぶようにしましょう。
月刊誌『食品と暮らしの安全』2017年10月1日発行 No.342 掲載記事
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2018/11月号 No355 1〜3ページ
2018/12月号 No356 7〜9ページ
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