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特集◆ハイブリット車は「エコ」ではない

月刊誌記事から>トータルでは高くつく(2009年6月号No242)



低燃費と加速力が魅力のハイブリッド車。
ガソリン代が節約できて経済的な気がしますが、ガソリンエンジン車と比較して、どのくらいメリットがあるのでしょうか。


走行燃費に優れたハイブリッド車ですが、本当に環境にやさしい車かどうかは、 ハイブリッド車の製造から廃棄までの環境負荷をトータルで試算し、 従来車と比較しなければなりません。
しかし、正確なエネルギー収支計算は行われていないので、価格を比較してみましょう。

●10年乗っても元もとが取れない
ホンダ・インサイトの車両本体価格は189万円から。 ハイブリッド車としては超安価ですが、 同じような車内空間サイズのフィットなら119万7000円から買え、 装備に違いはありますが、約70万円の価格差があります。 一般にハイブリッド車の実燃費はカタログ値の約6割、ガソリン車は約7割と言われています。
走行距離が月に2000km(年間24000km)の場合、 インサイトなら年間48000円のガソリン代節約になります。 しかし、価格差が70万円あるので、14年乗らないと元が取れない計算になります。 プリウスでも、やはり10年以上乗らないと経済的なメリットがありません。 しかも、搭載された電池の保証期間は5年または10万kmのいずれか早い方なので、 もし保証期間後に交換費用が発生したら、その分の費用がかかります。

●24万q以上走るとメリット
ハイブリッド車の方が経済的になる走行距離は24万km以上。 これでは、経済的なメリットを得ようとすればするほどガソリンを 多く消費することになり、エコカーの理念から遠ざかっていきます。 トヨタならヴィッツやパッソの方がエコという名にふさわしく、 ホンダならフィットやライフの方がエコです。 残念なのは、ホンダが年内発売予定だった次世代ディーゼル車の開発を凍結したこと。 小型ディーゼル車こそエコカーです。 スズキやダイハツ、日産、マツダなどにも、安価で燃費のいい軽自動車、小型車がたくさんあります。 これらの車は少なくとも現状のハイブリッド車より、財布にも環境にもやさしい車で、 こちらの方が筋のいい「エコカー」です。 プリウスもインサイトも、とても魅力的な高性能車です。 でも、「エコカー」ではありません。

※インサイトの実燃費 20km/ℓ
フィットの実燃費 15km/ℓ
年間走行距離 24000km
ガソリン価格 120円/ℓ とすると、
インサイトの年間ガソリン代:24000÷20×120=144000円
フィットの年間ガソリン代:24000÷15×120=192000円
年間差額 192000−144000=48000円


月刊誌『食品と暮らしの安全』2009年6月号No242掲載
    

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