代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「「入っていない」がわからない添加物表示」 安全基金の活動と考え方(48)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 「キャリーオーバー」は、原材料に含まれている添加物を、最終食品の表示から免除する制度のこと。 最終食品の品質に影響を与える添加物は表示しなければなりませんが、影響を与えないと見なされる添加物は、表示しなくていいのです。
 リン酸塩は影響を与えないと見なされ、最終食品の表示が免除されています。キャリーオーバーの制度と、リン酸塩の解釈が食品を「無添加」に見せる温床になっているのです。
 魚肉練り製品を例に挙げると、大手メーカーは「魚肉すり身」を買って原料に用います。これにリン酸塩が使われているのに、店頭に並んだときには表示されていません。 ところが、魚を買って魚肉練り製品を製造している中小メーカーがリン酸塩を使うと、無条件に表示義務があるのです。 同じメーカーが、魚肉すり身を買って使うと表示義務がなくなります。 かまぼこをプリプリにしているのはリン酸塩の効果ですから、最終食品の品質に明らかに影響を与えています。それなのに表示義務がないのです。
 こうして「無添加」に見えるリン酸塩入り魚肉練り製品が氾濫してしまいました。 ここまでを、前号・前々号でお知らせしました。
 では、他の食品は……。

 ここにも同じ構図があります。だから、現代の食品は、怖いものばかりになっているのです。 大手食品メーカーは、すべての原材料を外部から買うので、原材料にリン酸塩が使われていても、表示していません。 こういう「無添加」に見える食品を、大多数の消費者は買っているのです。 大手食品メーカーは、原料に冷凍食品を使うことが多くなっています。 食品を冷凍し、それを解凍しても、リン酸塩を使えば品質が変わりにくいので、冷凍食品には、たいていリン酸塩が使われています。 ここにも、リン酸塩が増える要因があるのです。
 ところが、表示には、その痕跡すら書かれていません。本当に「入っていない」ことはわからない。これが、現在の表示制度です。 リン酸塩の使用が確実なのは、「リン酸塩」「ピロリン酸塩」「メタリン酸塩」などと、固有名が書かれているケース。 リン酸塩が使用されている可能性の高い食品は、「pH調整剤」などの一括名の表示があるケース。 こういう表示がなくても、「原料を含めてリン酸塩を一切使用していません」と表示していない限り、加工食品には、高い確率でリン酸塩が使用されています。 昔から無添加物を貫いている生産者や、創健社やムソーのように社是として食品添加物を使わない食品を扱ってきた自然食品卸業者が扱う食品でないと、 リン酸塩が隠されて使用されている可能性があるのです。
 以上、「キャリーオーバー」について、これまでの意見を修正し、追加しました。

2009年12月1日発行 No.248より

安全基金の活動と考え方(49)「食べ物の原点は木の実」

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