代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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堕落した専門家から生命を守る 安全基金の活動と考え方(155)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 福島県が2014年、2015年に実施した子どもの甲状腺検査で52人がガンと確定、19人に疑いが見つかったのに、 県の専門家部会は、被ばくとは関連性がないと中間報告をまとめた、と東京新聞が6月1日にスクープ。
 ところが「結論はまだ」と、東京新聞は、6月9日の「こちら特報部」で大きく取り上げ、続報を載せました。  記事の冒頭、「3日に開かれた部会は報道批判から始まった」。2月にくぎを刺しているので「断定調の結論報道への苦言はもっともだ」。

 報告書はあくまで「案」。
 「現時点において」と断りがあったのに、断定調の見出しなので、部会長が批判したと「こちら特報部」は書いています。  それで、スクープ記事にミスがあったようだと思いながら、県の報告書(案)を読むと、記事に間違いはありませんでした。  「案」は、部会報告なら当たり前。「案」がついていないと問題になります。
 「所見」を「現時点において」から始めて、最後に「関連は認められない」と書けば、「断定した」と書かれて当然です。

 スクープに立腹する部会長の国際医療福祉大学・鈴木元(げん)教授にはあきれてしまいますが、部会を構成する専門家のレベルの低さもひどいもの。
 被ばく線量と甲状腺ガンの相関関係が認められない、チェルノブイリ原発事故と比べて被ばく線量が低い、 という理由で「甲状腺ガンと放射線被ばくとの間の関連は認められない」と結論を導くのは明らかな間違いです。
 被ばく線量の推計に採用した2013年の国連報告が古すぎて間違っているからです。

 2014年12月にNHKが「知られざる大量放出」で、放射能は事故の発生から4日間だけでなく、その後に75%が放出されていた(本誌310号)とした時点で使えなくなっています。
 2015年12月には東電が、圧力容器から出した熱水がゴムとシリコン製シール材を溶かした可能性があると発表。シール材がなければ放射能は漏れ放題(322号)なので、 過去の被ばく量推計は、すべて根本的に見直さねばならなくなっています。
 新事実が明らかになり、違っていることが科学的に明らかになった被ばく線量を根拠に、原発事故と甲状腺ガンの関連を否定して見せた人たちは、 権力と金に忠誠を誓った有能な専門家ですが、専門もバカな専門家なのです。

 放射能による食品汚染の人体影響の最低値を見つけて、4000人以上を健康にした「日本プロジェクト」は、ウクライナでは50回以上報道されています。
 ところが、日本では一度も報道されていません。マスコミのレベルが下がっているのです。
 5月21日、韓国の原発で危機一髪の事件が、6月18日には新潟で大地震が発生。次に原発で大事故が起きたとき、我われの成果が活かされるように、 「日本プロジェクト」を発展させることにしました。

 『国際チェルノブイリ福島連盟』という新しい仲間に、複数の汚染国で子どもを健康にする体験をしてもらいます。
 ここまで活動できたのは、みな様のご支援のお陰です。今後も差しさわりのない範囲で、ご支援をお願い申し上げます。


2019年7月号No363より



安全基金の活動と考え方(156)『排気の規制強化で石炭火力の維持を』

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