代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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放射能汚染地域の医療を変える 安全基金の活動と考え方(129)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 多くの住民が住んでいるのに、放射能汚染が一番ひどい地域がナロジチ、その次にひどいのがオブルチ。ここでウクライナの日本プロジェクトが成果を挙げています。
 1日250〜520ベクレルとっていたセシウム137を5〜10分の1に減らすと、子どもの健康度が劇的に高まり、 それからも少しずつ摂取量を減らして成果を挙げてきたことを、何度も紹介してきました。


 4月にナロジチ病院の院長に会い、学校の子どもたちを診てもらう相談をしました。
そのマリア院長が、私たちが支援している子どもたちの健康が、上下の学年の子に比べて、. すごく良くなっていることに驚いていると、タチアナさんから連絡が入りました。
 そこで、2つの病院と提携して、新たな展開を始めることにしました。家族が慢性病で病院に通って治療を受けている病院スタッフを、 ナロジチ病院とオブルチ病院で各5名選び、本人と家族の健康を良くするのです。
 家庭の食事に合わせて、放射能を減らす方法を考え、実施してもらうので、ガンなどの例外はあっても、 家族全員の健康状態が良くなり、慢性病は症状が軽くなります。
 プロジェクトに参加した計10名は、そのことを周りのスタッフに話すでしょう。そうすると病院の全員から注目を集め、 日本プロジェクトの支持者が圧倒的に多くなってから、次への進み方を病院と一緒に考えます。

 これまでのような村民と、病院のスタッフでは食料自給度が違うので、 食品の放射能の減らし方は、ラーザレフ博士とタチアナさんが各家族の条件に合せて指導します。
 これまでと違うのは、500gの輸入玄麦パスタを10家族に各100個配り、穀物とジャガイモから摂取していた放射能を減らすこと。これで1日に5ベクレルぐらい減らせます。
2012年から丸5年も経験を積んだので、タチアナさんと私は、どうすれば、いつごろからどのように健康が良くなるかが手に取るようにわかります。
放射能の摂取を減らせば健康になるという情報を、病院のスタッフが患者に話すようになれば、汚染地の医療は変わります。
 汚染地にある病院は、病気の診断と並行して、ホールボディカウンターを用いて体内被曝量を測定し、 被曝量が多い人は放射能の摂取量を減らす対策をとりながら、病気では死なないように治療するのが、本来の姿です。

 ところが、この地域にはホールボディカウンターがないので、体内被曝量を把握しないまま医療が行われています。
それらを改善するため、外務省に化学肥料やホールボディカウンター検診車の援助を要請してきましたが、今のところ、すべてボツ。
 だから、これまでどおり化学肥料や安全な飼料穀物を支援して、子どもたちの食事を、汚染の少ないものにしていく活動は、続けていきます。
 汚染地域の健康状態は、病院からマスコミを通じて発信されることが多いので、病院の意識が変われば、これまでできなかった情報発信を病院が行ってくれるようになります。

 ナロジチ病院とオブルチ病院は、日本のテレビで何度も紹介されたことがあるので、やがて日本のテレビでも紹介されるでしょう。

2016年9月1日発行 No.329より

安全基金の活動と考え方(130)『悪魔でも考えない「10万年」』

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