昆布に関するご質問について
ご回答
●天然ダシのヨウ素量は?
昆布には多くのヨウ素が含まれているので、とろろ昆布を事前に無理なく摂取しておくことは、放射性ヨウ素対策に有効であるとお伝えしてきました。
著書『食べなきゃ、危険!』でモニター調査に使った天然ダシ「無添加白だし三合わせ」も、100g当たり6.9mgのヨウ素を含みます。
大さじ1杯(18g)当たり、1.2mgのヨウ素量です。 一方、とろろ昆布も1gあたり1.3mgのヨウ素を含みます。
天然ダシやとろろ昆布などを毎食ごとに食べていると、ヨウ素の一日摂取基準の許容上限量2.2mgを常に超えてしまいますが、
緊急事態なので、むしろ超えるように考えてとるのがいいと思います。
あらかじめヨウ素を多くとることで、放射性ヨウ素の吸収を減らしましょう。
2011年3月31日(更新)
●昆布を「1日に50g」は食べすぎです。
現在、ブログ等で、下記の文面が拡散しています。
「ヨウ素を昆布で摂る場合の目安が載っていました。『食品と暮らしの安全』によりますと、事故が起こったらすぐに昆布・とろろ昆布を一日50g食べはじめ、4日目には20gに減らすそうです。子供はこの半分。」
この記事は1999年に書かれたものですが、「こんなに昆布を食べると障害が出る人もいるから普段から少しずつ食べること」という文章が削除されて拡散しているため、誤解されている方が多いようです。ご注意ください。
記事では、チェルノブイリを上回る大事故を想定し、行政のヨウ素剤が手に入らないときの自衛策として「50gのとろろ昆布を食べよう」と提案しています。50gというのは、ヨウ素剤に含まれるヨウ素と同量になる量です。
しかし、ヨウ素の1日摂取基準を考えると、とろろ昆布を2g程度食べただけで1日の許容上限量を超えますから、50gを食べ続けると過剰摂取の害が出ると思います。だんだん減らして毎日1gまでにしてください。
少量ずつ、継続して、無理せず召し上がってください。
●毎日新聞(3月14日)の記事より
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110314ddm002040052000c.html
「昆布に含まれるヨウ素は微量ですから、放射能を「除去」するような働きはありません。」という毎日新聞の記事を読み、昆布は効果がないの?というお問い合わせが増えています。
記事の通り、放射能を除去する働きはありませんが、放射性ヨウ素を取り込みにくくなります。
放射能を帯びていないヨウ素を先に体に取り入れて、放射能が飛んでくる前に甲状腺をヨウ素で飽和させておけば、放射性ヨウ素の被害を軽減できるはずです。
食品としては、昆布はヨウ素が豊富であり、事前に無理なく摂取しておくことは有効であると考えております。
●読売新聞(3月14日)のニュースより
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110314-OYT1T00986.htm
http://www.nirs.go.jp/data/youso-1.pdf
「わかめ等の海藻にもヨウ素が含まれますが、これらも効果がありません。」という報道を見て、昆布は効果がないの?というお問い合わせが増えています。
放射線医学総合研究所の発表を見ると、「海藻は、含まれる安定ヨウ素が一定ではなく、十分な効果を得られるかは不明です。」としています。不明なのに「効果がない」と断定しているのは疑問です。
とろろ昆布は“予防策”としては有効であると考えております。
以上、昆布に関するご質問をまとめ、回答させていただきました。
第一の対策は、防じんマスクで放射能を体内に入れないことで、これが最も重要です。さらに防御する意味で、とろろ昆布の摂取を考えてください。その際、毎日1gまでにしてください。
よろしくお願い申し上げます。
2011年3月24日(更新)