代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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ネックレス市民運動論 安全基金の活動と考え方(9)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一

 「どんな物でも自然の法則をすべて持っている」
 「ただ人間は、それらをすべて理解する能力を与えられていない」

野口体操の野口三千三先生は、こう語り、さまざまな物の実物を見ながら、いろんな法則を引き出していました。
例えば、ネックレスを動かして見ます。うまく動かすと、動きの原則が見えるので、その動きをイメージしながら、自然の原則に合う動きを追求したわけです。
「自然の法則は、自分の解釈で引き出せばいい」と、野口先生は話されていたので、私は「ネックレス市民運動論」と称して、ネックレスが示す自然界の原理原則を市民運動に当てはめ、存在の仕方、活動方法、組織などを考えるようにしています。
10万年前の人類が貝に穴を開けて作ったビーズが発見されたと、この5月に報道されました。ネックレスは、人類の生存に必要不可欠ではないにもかかわらず、太古の昔から人類は手間をかけて作り、身に付けてきたのです。ということは、人類にとって何らかの意味があったと考えられます。
ここまでは野口理論で、ここから「ネックレス市民運動論」を展開します。

 人類がネックレスを身に付けて魅力を増したように、現代社会には市民運動がある方が社会の魅力が増します。
市民運動などなくても、社会は成り立ちます。しかし、企業中心の資本主義社会に市民団体が存在すれば、社会のバランスが良くなることは確実です。

ネックレスは、自然素材なら一つひとつの珠に個性があります。珠の一つひとつが輝いていて、輪になってネックレスをかけた人に寄り添い、その人をより魅力的にする、そんな働きをしています。
市民団体も同じで、所属するメンバーの一人ひとりに個性があり、緩やかに連帯し、一人ひとりが輝きながら活動しているのが理想です。

人が動くとネックレスは少し形を変え、その人を引き立てます。これが自然界の原則なら、社会が変化すると市民団体も少し形を変える必要があります。
その人の体型や服装に合わせてネックレスを着けないと、魅力的になりません。それどころか、変に見えてしまいます。
 市民運動も同じで、社会の変化に合わせて運動体を変えないと、社会を引き立てる役割を果たせません。それどころか、社会に害悪を振り撒いてしまうことも考えられます。
ネックレスは普通に動いていると下の方の動きが大きくなります。市民運動も、末端の動きが大きくなるのが正常ですが、そんな団体は少ないので衰退しているわけです。

一方、ネックレスは、上を少し動かしただけで、末端を大きく動かすことができます。
安全基金は、情報を出すことで社会に小さな動きをつくり、それが伝わって大きな影響になることを願って活動しています。しかし、まれにしか大きな動きをつくれないことは、私(たち)の感覚が鈍いということです。

 次回は、「反射神経と勘」について書きます。


2006年9月1日発行 No.209より

安全基金の活動と考え方(10)「反射神経と勘」

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