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国際会議 |
国連のFAO(食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)のプログラムであるコーデックス(国際食品規格)委員会の表示部会が、韓国・チェジュ島で9月7−10日に行われています。
閉会後に日本政府代表団と記念撮影 |
政府の方と一緒に会議の感想を語り合いました。 |
韓国のチェジュ島は、映画でもよく使われる場所だそうです。 |
コーデックス 第14回アジア地域調整部会
2004年9月10日
9月7,8日の議論の内容を記した議事録が11日に採択され、無事にアジア
地域調整部会が終了した。
●参加者
今回の参加者は、以下のとおり。
アジア調整部会のメンバー国 17カ国(79名)
オブザーバー国 3カ国(23名)
国際組織 7組織(人数は公表なし)
アジア調整部会のメンバー国のうち、参加しなかったのは、わずか4カ国
(ブルネイ、北朝鮮、パキスタン、フィリピン)のみであった。一部の国
は、韓国が招待したこともあり、出席率は非常によかった。
日本政府代表団は以下のとおり。
厚生労働省 3名
農林水産省 2名
農林水産技術センター1名
技術アドバイザー 2名
●今回の総評:その1:韓国政府による見事な部会開催
韓国がコーデックス部会の議長を務めたのは今回が始めてのことであるが、
会議の運営は非常に行き届いていて、見事な会議であった。独自のホーム
ページを作成し、参加申し込み方法もわかりやすく、空港でのパス送迎サー
ビス、レセプションパーティ、1日観光ツアーなど、参加者にとって、快適
なサービスがされていた。
議事内容も、もともと韓国が提案した高麗ニンジン、コチジャン、ミソなど、
韓国の食生活に欠かせない食品の規格が話し合われ、議長国としては適任で
あったといえる。韓国が議長国を引き続き行うため、次回も期待される。
●今回の総評:その2:アジアの食品の国際規格化の流れが強まる
コーデックス規格は、これまで欧米中心で行われてきたが、ここ数年で、ア
ジアの存在感が増している。キムチのコーデックス規格が採択されたほか、
現在、醤油、コチジャン、ミソなど、アジア独特の食品の規格の検討がされ
ている。
このような伝統的な食品が、国際規格化されると、いわゆる「にせもの」の
商業化された食品も含めて規格にするしかなくなってしまうため、私たちは
このような食品の国際規格の作成にはあまり積極的ではない。
しかしながら、アジアの食品の国際規格化の流れは、とどまることはないだろう。
今回のアジア部会も、このことを予感させるものであった。
国際規格が成立しても、本来の伝統的な製法の食品の価値が認められるよう、
消費者に情報を提供していくことが、私たちの活動としては必要だろう。
●今回の総評:その3:機能性食品、今後はどうなるか?
FAO/WHO/ILSIによる9月6日に機能性食品に関するワークショップが行われた
ようにアジア地域にとっても、その他の地域にとっても、今後、「機能性食
品」への関心は、いろいろな意味で深まっていくだろう。
機能性食品に関する国際的な定義はいまだなく、コーデックスでもこれにと
りくみむことは難しいと思われる。しかし、アジア地域では、一般的に「体
をあたためる」「血流がよくなる」「血糖値がさがる」などの機能が信じら
れている高麗ニンジンの規格作成が、今回進んだことで、実質的には、コー
デックスでも、機能性食品の規格が作られ始めたという捕らえ方ができる。
今後の機能性食品に関する国際的な流れに注目する必要があるだろう。
●高麗ニンジンに関するつけたし情報
現在アジア部会で話し合われている規格は単に「Ginseng Products」(ニンジン
製品)となっていますが、ニンジンにもいろいろあり、どこまで規格に含める
のかは、まだ議論となっている。
・Panax ginseng C.A. Mayer (高麗ニンジン、朝鮮ニンジン)主に韓国産
・P.quinquefolius L.(アメリカニンジン)主にアメリカ産
・P.notoginseng (田七ニンジン)主に中国産
一番効用があるとされているのは、Panax ginseng C.A.Mayerで、
これを規格の対象とするのは議論の余地はないのですが、
そのほかのものを入れるかどうか、今後の争点となる。
韓国はもちろん、Panax ginseng C.A.Mayerだけにしたいと希望しているが、
他の国がどう考えるか、、、、国際規格だけに、難しい点である。
(報告者:熊澤 夏子)
*今回は、英語による報告も行っています。英語の情報が見たい方はこ
ちらからどうぞ。
http://tabemono.info/english/index.html
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