国際会議
コーデックス・第28回表示部会
(カナダ・オタワ)-2000年5月9日〜12日-


開催地:カナダ・オタワ

会期:2000年5月9日〜12日

議題:遺伝子操作食品、健康食品、有機食品などの表示について

5月9日からカナダのオタワで開催されるコーデックス(国際食品規格)委員会の第28回表示部会で、遺伝子操作食品の表示、健康表示、有機畜産のガイドラインが話し合われました。日本子孫基金はこの会議に国際NGOとしとて参加しました。

概況

1.遺伝子操作食品の表示

<第28回までの状況>

昨年5月に行われた第27回表示部会で遺伝子操作食品の表示に関して迅速に話しあいを進める必要があること、そのため、作業部会の設置をすることが決定した。

作業部会に参加したい政府・団体が非常に多数だったため、草案づくりをEU、アメリカ、オーストラリア、日本、ブラジルが行った。その後作業部会のメンバーには、書類が送付され、意見が求められた。

寄せられたコメントをもとに、第28回表示部会での検討資料が作成された。

コーデックスの規格作成の過程は、その進み具合が8段階に分けられているが、現在、遺伝子操作食品の定義に関わる部分はステップ6,その他の実際にどのように表示を行うかの部分はステップ3である。今、第28回では、定義の部分も含めて検討する。

検討資料は、オプション1と2が用意されており、表示に関して考え得る規格を、できるだけ多く盛り込んだ形になっている。この資料をもとに、議論が展開される。

<オプション1>

遺伝子操作食品が従来の食品と、組成・栄養価・使用法などの点で、[同等でない場合] [著しく異なる]食品のみ表示義務
* 「実質的同等」という言葉は第27回で排除することが決まったものの、指し示していることは、高オレイン酸大豆など「実質的同等」でないものにのみ表示をする案である。

<オプション2>

遺伝子操作体を含むもの、遺伝子操作体を含まないが遺伝子操作技術によってつくられているものなどに広く表示を義務づける案
アレルギーを起こす可能性のある品目への義務づけや、その情報を十分に提供できない場合の販売禁止などの案も含まれている。また、遺伝子操作体を含む上限についての話し合いの必要性にもふれられている。

<日本子孫基金の主張>

日本子孫基金はIACFO(食品国際消費者機構)として参加するが、すでに、表示部会議長、およびコーデックス事務局宛に、意見書を提出している。(意見書を参照)

主な主張としては、
消費者の権利を守り、販売後の疫学調査が可能になるように
「遺伝子操作されたDNAの認識番号まで付けた表示」を求めることである。

例:コーン(遺伝子操作・M-1)M1=モンサント開発1号

これまで、世界で誰も主張してこなかったが、
食品添加物の表示などと同様に、固有名が特定できる表示をすることが必要である。このような表示がされれば、遺伝子操作により、事故や健康被害がおきた場合、どの遺伝子操作によるものなのか追跡することが可能になる。

 

◆第28回の議論の結果◆

ステップは3のままストップ。

オプション1(アメリカ、メキシコなど)とオプション2(日本、イタリア、インドなど大多数の国)でコンセンサス取れず。作業部会でもう一度案を練り直すことに決定。

 

2.健康表示

4月28日に、コーデックス健康表示に関して、厚生省に申し入れを行いました。(申入書を参照)また、IACFOとしては、意見書をコーデックス事務所に提出しています。(意見書を参照)

 

◆第28回の議論の結果◆

ステップは3のままストップ。

「健康表示はすべきでない」(スペイン、CI、など)、「話し合い自体、時期尚早」(マレーシア)「自国ではすでに病気に関する健康表示も許可している」(アメリカ)など、各国の「健康」という言葉の理解や、法制度の状況がバラバラなため、コンセンサス取れず。議論は来年に持ち越し。

 

3.有機畜産ガイドライン

有機畜産に関するガイドライン(現在ステップ6)が話しあわれる。

コーデックスを始めとする国際規格では、遺伝子操作を、土壌投入資材・飼料を含めすべての生産過程から排除することになっている。しかしながら、1月20日に、農水省が告示した改正JAS法では、土壌投入資材に、遺伝子操作を容認する内容になっている。これは、国際的には容認できない規格であり、農水省がどのような、主張をしてくるのかが注目される。

 

◆第28回の議論の結果◆

緩いガイドラインで合意。来年2001年の総会で採択される予定に。

国土が狭かったり、気候が厳しいなど、有機畜産に向かない国(日本、韓国)が緩いガイドラインを希望。有機畜産・農法分野が進んでいるアメリカの反対にあったが、最終的には、緩い案で決定。