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2002年 PCB シンポジウム(日本)

2002年シンポジウムの様子
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 2002年2月3日 毎日ホール(東京)で開催したPCB国際シンポジウムは、あいにくの雨模様の中にも関わらず、100名近くの参加者が集まりました。一般市民だけではなく、蛍光灯安定器破裂事件が発生した教育現場の関係者、マスコミなども見られました。

 参加者から回収したアンケートからは、身近にPCBが使われており、それが漏れているという事実に驚いた、アジアのどの国も同じような問題を抱えていることが分かったなどという感想が寄せられました。
講演者内でも交流が深まり、今後もPCB廃絶に向けて取り組むことを約束しました。

<プログラム>
    「蛍光灯からPCBが揮発」
    基調講演:細見正明 博士(東京農工大学工学部教授)
    「アジア各国からの報告」
    ヒェースック・リー女史 (CACPK: 韓国消費者問題を研究する市民の集い)
    ビビアン・ツン女史 (香港消費者委員会)
    ロバート・リン氏 (台湾環境保護連盟)
    ハティージャ・ハシム女史 (ペナン消費者協会)
     最後に、日本子孫基金がまとめを行った

    写真:シンポジウム
アジアにおけるPCBの問題

日本子孫基金のPCB問題に対する取り組みと、前日(2002年2月2日)に開催したワークショップの内容のまとめを紹介します。


国際プロジェクト
     日本では、学校の老朽化したPCB入りの蛍光灯安定器が破裂し、生徒が頭からPCBを被るという事件が起こりました。このような事件をきっかけに、私たち(日本子孫基金)の事務所の蛍光灯はどうなのか調べてみると、なんとPCBが入った安定器を使っていたことが、分かりました。PCBは意外に身近な所にあるのです。これを契機に、日本子孫基金では、旧厚生省や東京都に申し入れを行うなど、PCBの問題に取り組み始めました。

     2001年度には、地球環境基金の助成によるPCBに関する国際プロジェクトを立ち上げました。
    一つは、閉鎖系でPCBが漏れないと考えられ、未だに使用されている蛍光灯安定器に注目し、本当はPCBが漏れるのかどうかという調査を東京農工大学に依頼しました。
    もう一つは、マレーシア、韓国、台湾、香港のNGOに、PCBに関する法律、使用・保管状況、処理などに関する現状調査を依頼し、2002年2月に、ワークショップやシンポジウムを開催。情報交換を行い、国際間で何ができるかを探りました。

ワークショップで議論
     以下が、前日(2月2日)に開催したワークショップで明らかになった内容です。

     PCBに関する何らかの法律が、調査を行った各国に存在していました。しかし、問題はその施行です。法律を知らなかったり、あるいは知っていながらも、PCB廃棄物を不法投棄するなどといった違法行為があることが分かりました。どれだけ、法律を徹底させることができるかが課題です。

     PCBが含まれている機器の使用状況や保管状況が正確に把握できていないのは、どの国でも共通した課題でした。長い年月が経ち、PCB廃棄物の保管者が変わる中で、管理が行き届かなくなり、廃棄物処分場に運ばれている可能性があります。PCBが入っているにも関わらず、その認識なく使われている機器は、通常の機器と同じように解体され、PCBが環境中に広がる恐れがあります。不明・紛失となっているPCB機器を見つけだすことが必要です。

     PCBの汚染を絶つには、一刻も早く、PCBの使用をやめ、PCBの分解を進める必要がある、というのが調査を行った各国共通の見解でした。分解処理は、多くの国で焼却が中心となっています。しかし、焼却には、ダイオキシン汚染や発生する焼却灰の処理、コストなどの問題が残るため、周辺住民の理解を得ることが難しく、最近では、化学処理や微生物による分解法の導入が検討されています。

     日本は、国内に処理施設を未だに持っておらず(電力会社など自社で処理施設を持つ所は別)、PCBの処理という面では、遅れていると言えます。
国際間で何が必要か
     それぞれ独自の言語を持つアジア地域は、国内の動きや調査研究が、国内のみの情報発信で終わってしまう場合があります。食品や環境汚染の検査結果、ニュースなどをお互いに交換したり、ホームページ上で、多くの人が情報を入手できる形にし、情報を共有することは、国際的に政府間で取り組みを進めたり、NGOが運動を展開する上で必要です。

     2001年にストックホルムでPOPsに関する条約が採択されました(ストックホルム条約)。この条約に締結した国は条約を守らなければなりません。現在(注1)のところ、締結国は2カ国のみです。中国や韓国は署名はしていますが、日本は署名も締結も行っていません(注2)。多くの国がPOPs条約に締結を行い、協力してPCB廃絶への取り組みを進める必要があります。
    注1:2002年2月時点での状況。現在(2003年2月)では、日本を含め、29カ国が締結
    注2:2002年2月時点での状況。日本は、2002年8月に締結しました。

     PCBは、先進国では1970年代に禁止されたため、過去の問題であるという認識を持つ人やPCB問題を知らない人がいます。不明なPCB機器を減らすためには、一般市民の協力も必要です。そのためには、市民の関心を高める活動が今後、必要です。

世界へPCBの問題をアピール
     一般市民へのPCBに対する関心を高めるために、日本子孫基金でもいくつかの取り組みを行います。

     一つは、PCBの汚染源は身近にあるため、汚染源をなくそうということを訴えた「STOP PCBポスター」を6カ国版(日本、韓国、台湾、香港、マレーシア、英語圏)で作成したので、それを多くの国に配布します。

     もう一つは、国際食品規格(CODEX)委員会の食品添加物・汚染物質部会に参加し、PCBの汚染源を断つことの必要性を訴えます。
蛍光灯を調べてみよう
     PCBは、1972年に製造が禁止されましたが、それ以前に建てられた古い建物には、まだまだPCB入りの蛍光灯安定器が使われている可能性があります。それらは、一刻も早く、新しい安定器に交換し、無害化処理を進める必要があります。

     そこで、市民のみなさんを対象にPCB入りの安定器があるかどうかアンケート調査を行います。みなさんの近くの蛍光灯安定器を調べて日本子孫基金まで連絡して下さい。結果が、PCB入りであった場合は、こちらから連絡します。

蛍光灯安定器のチェック法
     まず、電球を外し、カバーを外すと、蛍光灯の安定器が見えてきます。そこにラベルがあるので、その情報を読みとって下さい。
月刊誌で紹介
     日本子孫基金では、今後もPCB問題に取り組み、その内容は、私たちの月刊誌「食品と暮らしの安全」の中で紹介していきます。皆様のご意見・ご感想もお待ちしています。
謝辞
    このシンポジウムは、環境事業団の地球環境基金の助成(2001年度助成事業)により開催しました。


 
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