10:00〜10:40 開会、開会の挨拶など ●大きくもめたパラグラフ7 「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」が話し合われたが、本日話し合ったパラグラフの中で、大きな議論が起き、多くの時間が費やされたのは、パラグラフ7である。 パラグラフ7は、安全性評価を行う際の、conventional counterpart(従来の比較対象物・組換えていない微生物)との比較について述べている部分だ。「食品に利用された組換え微生物をconventional counterpartと比較し、もしも安全だと判断されれば、その食品もヒトの健康には害がないと判断される」というような意味の文章が[ ]書きで含まれていた。この文章を消すか残すかを巡り、大きな議論があった。消すと主張したのは、イタリア、フランス、イラン、メキシコ、スペイン、南アフリカ。NGOであるグリーンピースや49thパラレルとともに、IACFOもこれを支持。一方残すと主張したのは、アメリカ、カナダ、ベルギー、ギリシャ、ブラジル、日本、オーストラリア。両者まったく譲らず、消す、消さないの議論がしばらく続いた。そこで、イランが昼食の時間中に作業部会を開き、妥協案をまとめることを提案。昼食の時間に作業部会が開かれた。 作業部会でできあがってきた妥協案には「比較の結果が満足のいくものであれば(satisfactory)、組換え微生物を利用して作られた食品はconventional counterpartを利用して作られた食品と同程度安全だと判断されてもよい」という文章が入っていた。satisfactory(満足のいく)とはどういう意味なのか、はっきりしない。それにパラグラフ7はあくまでも安全性評価を行う上でのアプローチの仕方を記すべき部分で、「○○○なら△△△」という結論を記すべきところではない。この文章を残すか消すかで、また議論になった。そして結局グリーンピースなどのNGOやフランス、イギリス、オランダが主張した「消す」ことで合意した。 ●変わらない対立構図 ●インターネット中継が大好評 日本子孫基金は、世界初のNGOによるコーデックスのインターネット中継を本日、スムーズに行うことができた。主要新聞に掲載されたことに加え、電子メールによる告知を行ったため、会議が始まる前から、各国のコーデックス参加者には広く知られていた 。会場でお知らせを配布しようとすると、 「もう、知っているよ。家族と友達に見るように言って来た」と多くの人に言われた。「同僚には見るように行って来たけど、ボスには言うのをやめた。何で、あのとき発言 しなかったんだ、、、と後で怒られると困るからね、、、、」と言う人もいて、インターネット中継の影響を改めて感じた。 今回、急な体調不良のために会場に来ることのできなかった、コーデックス事務局のランデル博士(ミスター・コーデックスと呼ばれるコーデックスのなかで最も有名な博士)も 「残念ながら出席できないから、インターネット中継を見るよ」と言っていたとのこと。ミスターコーデックスに私たちのインターネット中継を見てもらえることは、大きな喜びでもあり、光栄だ。コーデックス事務局にも、インターネット中継の意義が充分伝わったと考えて良いだろう。 議事を始める前のWHOのヨルゲン・シュルンツ博士のスピーチでも「この会議は大変関心の集まっている会議であり、今回はインターネット中継も行われると聞いています」と紹介された。 私たちも議事が始まる前に、発言をする機会をもらい、次のように述べた。「会場の皆様に、IACFO(国際食品消費者機構)のメンバーである日本子孫基金が、日本政府の許可を得て、この会議のインターネット中継を行っていることをお知らせいたします。このインターネット中継を行うにあたって、厚生労働省のご協力に、深い感謝の念を表し たいと思います。コーデックスに興味のある多くの人が、十分な資金がないために参加ができないで居ます。私どもはこのような人たちがこのインターネット中継を見たり、 聞いたりすることを望んでいます。インターネット中継は、コーデックスの透明性と情報開示を推進する優れた方法の一つです。私たちは全てのコーデックス会議が放映され るようになることを望んでいます。そうすれば、もっと多くの人が、コーデックス会議 に興味を持つことができるようになるでしょう。インターネット中継は、http://tabemono.info/から見ることができます。みなさんのお国にいらっしゃるご同僚、ご家族、ご友人にお知らせしたい方は、テーブルにご用意しましたパンフレットをごらんになってください。」 会議の後に行われたレセプションでも、多くの人に、「インターネット中継は、とてもよいアイディアだ」「NGOが中継をしてしまうなんで、すごい」 などどお褒めの言葉をいただいた。 しかし、以下の様な声も寄せられた。「出席者は見れないのが残念、、、会場の外にでも中継の様子を流してほしい」 (回答:会場に電話回線を確保してもらうことができなかったため、できなかった。)「帰ってからもう一度見れないの?」 (回答:通訳に版権が生じるため、ライブでの使用しかできない。)「後ろにカメラがあるから、議長団以外は、後ろ姿になってしまうのが残念ね」 (回答:前にカメラをおくことは許可されなかった。) ともあれ、第1日目、無事にインターネット中継を世界に向けて行えたことは、大きな成果であった。
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