国際会議
第1回コーデックス・バイオテクノロジー
応用食品特別部会IACFO提出書類
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食品国際消費者機構

南 俊作 博士

国際食品安全プログラム
厚生省
100-8045 東京都千代田区霞が関1-2-2   

1999年3月14日


IACFO 意見書

地球上に存在しなかった生物を作り出したにもかかわらず、遺伝子操作食品の規制は科学的に行われてこなかった。未知の要因が多いのに、安全審査を大幅に省略できる「実質的同等」という非科学的な概念をつくって、非常に低いレベルの安全性しか確保せずに、遺伝子操作食品は実用化された。私たちは、既に実用化されている現状を踏まえながら、コーデックスで次のように国際規制を進めていくことを主張する。

議論の範囲
遺伝子操作食品の評価方法、食物アレルギーの人への対策、環境影響、種の壁を超える事への宗教・倫理的考慮、消費者が選択する権利の確保、をベースにできるだけ幅広く議論すべきである。

議論の優先順位
1. 安全性
2. 環境影響
3. 宗教的・倫理的考慮
4. 消費者の選択の権利

安全性評価の原則
1. 最先端の科学で安全性を評価すべきである。 食品は大量投与実験ができないので、食品添加物のように安全性を科学的に評価できない。遺伝子操作食品は、遺伝子を操作したのだから、遺伝子レベルで科学的に安全性を評価することが基本になる。遺伝子ゲノムの解析を行い、未知の毒物が生成していないことを科学的に実証してから、遺伝子操作食品は市場に出されるべきである。
2. 「実質的同等」概念による非科学的な評価を廃止すること。 実質的同等の概念は、科学的に安全性を確かめるのを省略し、未知の不安を残したまま遺伝子操作食品の実用化に未知を開いた諸悪の根源である。このような非科学的な概念を安全審査の基本に置くことを廃止すること。
3. ヒトの安全性は、最終的にはヒトでしか確認できない。私たちは、既に実用化されていることが好ましいとは考えていない。しかし、現状を踏まえながら、消費者の安全を確保していくため、表示制度を充実させて、ヒトで疫学的なモニタリングを行い、時間をかけてヒトで科学的に安全性を検証すべきである。
すでに、表示を義務化した国もあるが、これまでの表示制度では、許可されたどの遺伝子操作食品を食べているのか、消費者はわからない。食品添加物が個々の物質を表示しているように、遺伝子操作食品も、個別の認可品目がわかるようにして、被害が起こったとき、どの遺伝子操作食品で被害にあっているのかがわかるようにすべきである。こうすれば、ヒトの疫学的モニタリングが可能になるであろう。
4. 食品として食べる条件だけで安全性を審査するのでなく、環境への影響も考慮すべきである。環境を考えながら購入を決める消費者が、それを実行できるようにしておかねば、地球環境に未来はない。
5. 未知の条件が多すぎる場合は、予防原則にしたがって規制ができるようにしておくべきである。


小若 順一
IACFO 日本子孫基金





部会に先駆けて、政府代表団およびオブザーバーに意見が求められたため、

IACFOでも、1999年12月20日、意見書を提出した。以下はその意見書である。


食品国際消費者機構

南 俊作 博士

国際食品安全プログラム
厚生省
100-8045 東京都千代田区霞が関1-2-2   

1999年12月20日

 

バイオテクノロジーによって作られた食品について

私たちは、遺伝子操作作物の栽培は、それが試験的栽培であっても、遺伝子操作体の環境放出をもたらし、  食品の安全に関わる問題を引き起こすのではないかと懸念しています。例としては、花粉が作物や蜂蜜などに  混入するケースがあげられます。  

食品として許可されていない遺伝子操作作物を厳重に封じ込める対策が必要です。

今回の臨時部会で、食品の安全について扱う際に、広く環境問題も考慮に入れる必要があると考えます。

 

消費者の選択の権利 遺伝子操作の規制に関するIACFOの提案

1. 消費者の選択の権利

(i) IACFOは遺伝子操作体を含む全ての食品と飼料(加工助剤、簡易包装、アルコール飲料を含む飲料、  ケータリングサービスによる食品などをすべての流通する食品と飼料)の全面表示を望む。 

(ii) IACFOは、生産・加工・流通、すべての段階における追跡調査をもとに、 遺伝子操作体を含む食品の全面表示を要求した 「大西洋消費者会談宣言(transatrantic Consumer Dialog Statement)」*を支持する。

 

2. 安全性

(i) IACFOは新開発食品のリスク評価には、「実質的同等」の概念を使用するべきではないと考える。

「実質的同等」という言葉を使うことは、恣意的かつ消費者を誤解させる可能性がある。  「同等」であることを証明するための方法は合意が得られていない。 遺伝子操作食品が、実質的同等であると判断され、リスク評価を免除された場合、 非遺伝子操作食品との重大な違いを隠蔽する可能性がある。 「実質的同等」には「同等に安全」という意味を含むと思われるので、 この判断には予防原則の考え方を取り入れる必要がある。

  (ii) IACFOは安全性に関して、  以下の「大西洋消費者会談宣言(transatrantic Consumer Dialog Statement)」を支持する。  

・遺伝子操作食品が消費者にどのような利益を与えるかを明らかにする。  
・ヒト、動物、環境へ悪影響がないことを示す。
 ・ヒトへの健康影響と環境への安全保護をきちんと評価する効果的な政府許可システムを義務づける必要がある。
Dr. ティム・ロブスティン
IACFO 英国食品委員会
94 White Lion Street
London N1 9PF,UK

1999年4月24日、ベルギーで行われた、アメリカとヨーロッパの消費者団体約60団体の話し合いによって出された宣言。

大西洋消費者会談宣言   「遺伝子操作のリスク、環境への影響、社会的・経済的要因、倫理的問題、消費者にとって利益がないことが、 消費者の間で懸念されている。ヒトへの健康影響と環境への安全保護を評価する効果的な政府許可システムが必要である。  遺伝子操作食品の利益および人や動物、環境に悪影響がないことが消費者にきちんと示されるべきである。  消費者の知る権利、選択の権利を守るために、政府は遺伝子操作体を含む全ての食品と飼料の表示義務化をすべきである。」  

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