|
国際会議 |
|
コーデックス(国際食品規格)プレスリリース:No.5 |
|
|
┏━┏━┓---------------------------------------------------------┓
┃目┃次┃
●本日の会議
●会議の内容 ・栄養・健康表示について
・有機ガイドライン
・遺伝子操作食品の表示
●日本政府の様子
●明日の予定
●ひとこと (私の個人的な感想です。)
┏━┏━┏━┏━┏━┓---------------------------------------------┓
┃本┃日┃の┃議┃題┃2004年5月11日
●表示部会第2日目
●議題
議題4 栄養・健康表示
議題5 有機ガイドライン
議題6 遺伝子組換え食品の表示
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妥協案・広告の「栄養健康強調表示」は各国まかせ
議題4 栄養・健康強調表示の使用に関するガイドライン案
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●昨日5月10日に合意に達しないまま、議論を終わっていた「広告の栄養
健康表示はこのガイドラインの範囲に含めるかどうか」という点。
●妥協案として、各国で「広告に関して責任のある関係当局によって必要と
される場合は」このガイドラインが適用されるということになった。つま
り、広告を規制するかどうかは、各国にまかされることになったので、国
によっては、根拠のない栄養・健康強調表示が広告やインターネットに氾
濫したままになる可能性があるということだ。
●昨日のプレスリリースNo.4で、「日本は国内で広告の規制はしていない」
と書いてしまったが、これは、古い情報でした。「健康促進増進法」とい
う新しい法律ができ、広告も規制されています。また、公正取引委員会も
広告を取り締まっているので、根拠のない、栄養健康強調表示は規制され
ます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
議題5 有機ガイドライン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┓----------------------------------┓
┃注┃目┃の┃結┃論┃は┃こ┃こ┃
●5/8の作業部会の話し合いの結果が、表示部会の本会議にかけられた。
●IACFOは以下のように発言を行った。
・消費者は有機食品にはできるかぎり添加物などを使用しないことを望んで
いるため、有機食品の生産に使用できる物質のリストは、できるだけ短く、
限定的なものにすべきである。
・消費者の有機食品に対する期待や理解を、今後の議論では考慮すべきであ
る。消費者の有機食品に対するとらえかた、考え方を来年、さらに報告し
たい。
・現在、合意に達していない以下の物質はどれも、リストにいれるべきでは
ない。
・チリ硝石(土壌改良のために使用)
・亜硝酸ナトリウム(生ハムのように殺菌しない肉製品)
・硝酸カリウム(生ハムのように殺菌しない肉製品)
・アスコルビン酸(肉製品)
・アスコルビン酸塩(肉製品)
・アスコルビン酸カルシウム(肉製品)
・アスコルビン酸カリウム(肉製品)
・リン酸塩(肉製品)
・リン酸カリウム(殺菌済みクリームの安定剤)
・二リン酸
(溶けるチーズ、プロセスチーズの乳化剤、殺菌済みクリームの安定剤)
・重リン酸
(溶けるチーズ、プロセスチーズの乳化剤、殺菌済みクリームの安定剤)
・亜酸化窒素(ホイップクリームの増進剤)
●肥料・土壌改良に使用する「おがくず、バーク、木屑」「木灰」「木炭」
に使用される木材は「伐採後、化学的処理を行われていてはならない」とい
う点が含まれたリストは規格作成の最終段階であるステップ8にすすめられ
た。7月に開かれる総会で採択されると、コーデックスガイドラインとして
成立する。
●オーガニック肉製品に使用してもよいか、議論になった「亜硝酸ナトリウ
ム」「硝酸カリウム」を含むリストは、ステップ3として、来年引き続き
、話しあわれることになった。
●チリ硝石(土壌改良のために使用)に関しては、
ステップ6からステップ3に戻して、来年引き続き、話し合われることに
なった。
┏━┏━┏━┏━┏━┏━┓------------------------------------------┓
┃さ┃ら┃に┃詳┃し┃く┃
●もっと詳しく知りたい方は、、、
(コーデックスの書類の原文を見ていないと、なかなかわかりずらいと思い
ますので、コーデックスの議事に特に興味のある方だけどうぞ。)
●今後の話し合いについては以下のようにすすめられることになった。
1.付属書2の表1(肥料および土壌改良資材として使用する資材リスト)、
表2(植物の病害虫防除用の資材)のうち合意に達したものをステップ8に
すすめる。
2.表3(添加物・キャリアのリスト)と表4(加工助剤リスト)のうち合意
に達しているものをステップ6として、表の形式の変更(INS番号 物質名
有機食品生産において許可される使用方法 食品分類の制限(植物由来食
品の場合、動物由来食品の場合))を行う。
3.2の表の形式の変更は、カナダが主催するE-mailによる作業部会で話し合う。
4. 今後、リストに新しい物質を加える際の方法について、アメリカが主催す
るE-mailによる作業部会で話し合う。
5. 有機ガイドラインは、4年に1度(リストは2年に1度)見直しを行うこと
が決まっている。現在の有機ガイドラインは2001年に作成されたものなので、
来年から見直しを行うことが好ましい。これに関して、見直しを始めるべきか
どうか、総会にかける。
●もっと、もっと詳しく知りたい方は、、、
コーデックスの原文、表などとあわせて説明しないと、説明がしきれませんの
で、チェンジ・コーデックス市民の会の機関紙「チェンジ・コーデックスNo15」
でさらに詳しく説明をする予定です。ご購入希望の方は、機関紙NO.15が出来
次第、詳細はこのプレスリリースでお知らせしますので、今しばらくお待ちく
ださい。
┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┓-------------┓
┃ど┃う┃な┃る┃有┃機┃ガ┃イ┃ド┃ラ┃イ┃ン┃?┃
●「有機ガイドライン」のゆくえ、、、このままではいけない!!
(これは参加者・熊澤の個人的な感想です。)
今回、作業部会、に参加して感じたこと、それは「雰囲気が変わった」という
こと。
一つには、議長が変わったことも影響している。これまでの議長は、オース
トラリア政府のルビソロ氏で、彼女は自分自身も有機畜産農家をしている、
有機食品への個人的思い入れも大きい人だった。コーデックスで有機ガイド
ラインの話し合いが始まった時からこの作業部会の議長を務め、消費者がオ
ーガニックに何を求めているのかを熟知している人だった。
コーデックス規格の中で、有機ガイドラインはいくつかの点で、かなり特殊
といえる。画期的なガイドラインを作成できたのも、コーデックスと有機食
品の両方を熟知したルビソロ氏が率いる作業部会があったからこそできたの
だと思われる。
「特殊」といえるのはたとえば、
・通常、コーデックスでは環境問題は話し合われないが、有機のガイドライ
ンには、地域および世界的な環境保全につとめること(全文2)」という
条文が入っている。
・通常、コーデックスでは人間の健康は話し合っても、動物の健康に関して
は話し合われないが、有機のガイドラインには、「人間または動物の健康、
および生活の質に及ぼす負の影響が最低限なものであること」(第5章
5.1)という条文が入っている。
・「消費者がその食品の性格、内容および品質について惑わされることがな
いこと」(第5章 5.1)という条文があり、消費者が「有機食品」に何を
もとめているのかということが明示されている。(これはコーデックスの
中で特殊というわけではないが。)
ルビソロ氏は、昨年オーストラリア政府を定年退職。しかし昨年までは、周
囲からの強い希望で、カナダ政府がルビソロ氏を雇って、この作業部会の議
長を務めた。今年も、周囲はもちろんルビソロ氏本人も議長の続行を希望し
ていたのだが、カナダ政府がこれを拒否。カナダ政府内の議長、バリー氏を
議長として任命したのだ。
バリー氏の議事の進め方からは、消費者がオーガニックに何を求めているの
かに関しての理解があまりないように感じた。今後、私たち消費者団体が発
言をし、強く求めていかなければ、どんどん有機食品産業のため、輸出入が
楽にできるためだけのガイドラインのものになっていってしまう。
アメリカ、ニュージーランド、IDF(国際酪農連盟)などは、特に食品産業界
寄りの、貿易重視の発言が目立った。アメリカは特に「コーデックス基準は
あくまでガイドラインなので、貿易する際に、輸入国と輸出国が二国間で交
渉すればいい」というような発言が目立った。二国間交渉では、アメリカの
ような強国は必ず意見を通すことができるからだろう。
有機ガイドラインが作成されはじめた頃は、政府代表団も、みなルビソロ氏
のように有機食品を個人的にも愛している、理解の深い人たちばかりだった
という。それが、年々、貿易と産業を考える人が増えていると、かつてを知
るIFOAMの人たちは言う。今回の作業部会で、「雰囲気が変わった」と感じた
のは、この「貿易と産業を考える」人たちの方が増えてきた、声が大きくな
ってきたものによるものだろう。
環境・消費者の有機に対する期待などを重視したガイドラインにするために、
これからも、デンマーク、ノルウェー、ドイツ、IFOAMなど、私たちと同じ
思いを持つ代表団と共に、活動を強化する必要がある。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
議題6 遺伝子組換え食品の表示
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●議論はほとんど進まず!明日も引き続き話し合われる。
┏━┏━┏━┏━┏━┓---------------------------------------------┓
┃会┃議┃の┃内┃容┃
● 11:30頃から、昼休み(12:30-14:00)をはさんで、17:30まで話し合いが
された。45以上の国、団体の発言があり、IACFOも発言を行った。
●IACFOは、以下の点を発言した。
・遺伝子操作食品の表示は今後も継続して話し合いをおこなうべきである
・栄養成分などが異なる従来の食品とはあきらかに違う遺伝子操作食品への
表示と、そのほかの表示(DNA、タンパクが食品中に残っているもの、生産の
過程で遺伝子操作原料が使われたものへの表示)はあわせて話し合い、1つ
の書類を作成すべきであること
・現在、国際マーケットでは、遺伝子操作作物と非遺伝子操作作物の価格は
かなり異なり、たとえば日本はアメリカ、カナダから高い値段で非遺伝子操
作作物を購入している。適切な表示なしには、コーデックスの目的である
「公正な貿易取引の推進」をすることができない。したがって、表示問題
をきちんと考えることが必要である。
●長い議論の後、ほとんどの国が栄養成分などが異なる従来の食品とはあき
らかに違う遺伝子操作食品への表示と、そのほかの表示(DNA、タンパクが食
品中に残っているもの、生産の過程で遺伝子操作原料が使われたものへの表示
)をあわせて話し合い、1つの書類を作成することに賛成していたことから、
このような方向ですすめ、さらに、素案グループのようなものを作って話し合
うことができるだろうというところまで、ほぼ合意された。
しかし、まだ完全に合意していないことから、明日の朝7:00から少人数での会
議を行った上で、話し合いを再開する。
┏━┏━┏━┏━┏━┓---------------------------------------------┓
┃議┃題┃の┃背┃景┃これまでの流れを知りたい方はどうぞ。
●遺伝子組換え食品の表示に関して、表示部会では1993年の第22回から議論
されている
しかし、決定している事項はただ1つ、アレルギーを起こす可能性のある遺
伝子組換え食品には表示義務がある*ということのみ.遺伝子組換え食品と
は何であるかを述べている「定義」の部分がステップ6、その他の部分は
、ステップ3のままで、まだ議論が続いている。(*第29回表示部会(2001
年5月)で合意、同年7月の第24回総会で採択)
昨年の第31回表示部会では、このトピックの話し合いをこのトピックの話し
合いを表示部会においてどのように進めていくかについて、作業部会を開く
ことで合意。
2003年10月28日から30日まで、カナダのカルガリーで作業部会が行われた。
今回はこの作業部会の話し合い結果を受けて、議論が行われた。
┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┓------------------------------------┓
┃日┃本┃政┃府┃の┃様┃子┃
●遺伝子操作食品表示の話し合いの進め方について1度、発言。
「書類を1つにするか2つにするかは、どちらでもよいが、栄養成分など
が異なる従来の食品とはあきらかに違う遺伝子操作食品への表示と、そ
のほかの表示は同時進行で話し合いをすべきである。」
┏━┏━┏━┏━┏━┓---------------------------------------------┓
┃明┃日┃の┃予┃定┃
●議題6 遺伝子組換え食品の表示
が引き続き、話し合われます。
●その後、
議題7 包装食品の表示に関する一般規格の修正案(原材料数量表示)Step3
議題8 原産国表示についての検討
議題9 食品表示およびトレーサビリティの検討
あたりまで議論がされるのではと予測しています。
┏━┏━┏━┏━┓-------------------------------------------------┓
┃ひ┃と┃こ┃と┃
●遺伝子操作食品の表示に関する議論は、毎年のことながら、本当に長い
長い議論となっています。
表示部会では、発言をしたい場合は手元のボタンを押すと、議長団のコンピ
ューターに、順番に表示されるようになっています。
私たち国際NGOの発言は、政府の発言のあとにまわされるので、ボタンを押し
てからかなりのじかん、待つことになります。今日は、12:10頃に押して、
実際に発言の順番がまわってきたのは、15:40頃でした。昼休みをはさんで
しまったためもありますが、それにしても長い待ち時間です。
待っている間に、これも言おう、あれも言おう、、、と言うべきことのリス
トがどんどん長くなっていきました。
明日はどうなるでしょう?いづれにしても、今年も遺伝子操作食品の表示は
大きな動きはないことが予測されます。
●ちょうどよいタイミングで、遺伝子操作作物に関する情報が2つ入って
きました。
1つはモンサント社が、遺伝子操作小麦の販売を断念したこと。
これは除草剤耐性の小麦で、消費者団体や環境団体の大きな反対があったこ
とが理由だそうです。前にアメリカの政府代表の一人が、休み時間に
「確かに小麦だけは遺伝子操作はイヤだな、、、毎日食べるものだから」
と言っていました。北米の人にとって小麦は日本人にとっての米のようなも
のですから。
2つは会議が行われているここカナダのケベック州では、95%の人が遺伝子
操作食品の表示は義務付けられるべきだと考えているという調査結果が出て
大きく新聞、テレビで報道されていることです。カナダ政府は、この調査を
見ても、あまり意見を変える動きはありませんが、少しずつ、北米でも意識
が高まっていることは喜ばしいことです。
(熊澤 夏子)
|