開催日:2002年5月6日〜11日
(直前に、有機食品の作業部会と健康強調表示の作業部会が4日に開かれた)
議長国:カナダ
議長:アン・マッケンジー博士(カナダ)
参加人数:270人
参加国:政府48ヶ国、国際政府組織・NGO 33
IACFO(食品国際消費者機構)の参加者は、日本子孫基金・チェンジコーデックス市民の会より熊澤夏子、遠藤諭子、 CSPI(公益科学センター)より
ブルース・シルバーグレードIACFO会長、ビル・ジェフェリー
議題
開会
議題1 議案の承認
議題2 他のコーデックス部会、委員会からの事項
議題3 表示規定の検討
議題4 有機ガイドライン
第5章 付属書2に資材を追加する際の要件及び各国がリストを作成する基準Step3
付属書2 有機食品の生産のための許可資材 Step3
議題5 遺伝子組換え食品の表示
定義 Step 6
定義以外の部分(表示の対象食品、表示例など) Step 3
議題6 包装食品の表示に関する一般規格の修正案(分類名)Step6
議題7 栄養成分表示のガイドラインの修正案(セクション3.2 栄養成分のリスト)Step3
議題8 栄養・健康強調表示の使用に関するガイドライン案 Step 3
議題9 包装食品の表示に関する一般規格の修正案(原材料数量表示)Step3
議題10 原産国表示についてのディスカッションペーパー
議題11 誤認を招く表示についてのディスカッションペーパー
議題12 その他、次回の会議
議題13 議事録の採択
決定事項
有機ガイドライン
第5章 付属書2に資材を追加する際の要件及び各国がリストを作成する基準→ステップ5に
付属書2 有機食品の生産のための許可資材→ステップ3に据え置き
遺伝子組換え食品の表示→ステップ3に据え置き(「定義」の部分:ステップ6に据え置き)
遺伝子組換え食品は、輸出国と輸入国で立場が全く違い、なかなか議論が進まないでいる。
(1)組成、栄養価、用途が違うもののみを表示する
(2)(1)だけでなく、組換えDNAやそれから生成されるタンパクを含むものは表示
(3)すべての遺伝子組換え食品に表示
現在のところ、ガイドラインが適用される食品の範囲は、この3つに分類されている。アメリカ、アルゼンチンなど遺伝子組換え食品の生産国は、(1)のみ、つまり、高オレイン酸大豆など、あきらかにこれまでの食品と異なるもののみを表示したいと考えている。日本も含め、現在、表示義務化をしている国が表示の範囲として定めているのが(2)。インドなどは、組換えDNAが含まれている、含まれていないにかかわらず、油なども含め、すべての遺伝子組換え食品を表示の範囲とすべきと考えている。また、最近EUも、この案に賛成する動きが出ている。しかし、スイス、オーストラリア、タイなどはこのように全ての遺伝子組換え食品に表示をすることには、検査で組換えかどうか判断できない(表示が本当かどうかわからない)、すべてに表示をすることは実施が可能かどうかわからないことなどを理由に、懸念を示していた。
栄養成分表示→ステップ5に。今後、脂肪酸の扱いについて議論が続くと思われるが、おそらく2004年くらいにはステップ8に進むと思われる。
栄養・健康強調表示→ステップ5に
原材料数量(%)表示(QUIDクイッド:Quantitative Ingredient Declaration)→ステップ3に据え置き
原産国表示→検討継続
誤認を招く表示について→検討継続
◆オーストラリア政府、消費者団体に「国賊」と呼ばれる
「政府が食品表示システムを妨害しようとしている」という見出しの記事が、5月9日シドニーモーニングヘラルド紙に掲載された。内容は、オーストラリア政府が国内では遺伝子組換え食品の表示に関する法律を制定し、消費者の声に答えたかのように見えたが、実際はコーデックスでそれに反するような立場を取っている、というもの。オーストラリア消費者連盟のスミスさんのコメントが掲載されていて、スミスさんは「政府の取っている立場はとても容認できない。国賊のような行動(traitorous
behavior)だ」と批判している。
コーデックスでのオーストラリア政府の発言は、組換え食品の推進国であるアメリカやカナダ、アルゼンチンを支持するようなものがたびたびある。私たちもそのことには疑問を持っていた。新聞記事では、この「国賊」という批判に対してオーストラリア政府はノーコメントだったと書いてあるが、記事が表示部会の真っ最中に掲載されたこともあり、会議に参加している人の間でも話題になった。
コーデックスで実際にどんな議論が行われているのか、知っているのは会議に参加している政府代表とNGOのみである。マスコミが傍聴し、報道することもたまにはあるが、まだまだ「カーテンの裏の交渉」という感が否めないのではないだろうか。コーデックスに参加資格を持つNGOとして、今後も会議場の“中”と“外”を結ぶ役割を果たす必要性を再認識した。 |