受付番号 | 202006050000991243 |
提出日時 | 2020年06月05日16時54分 |
案件番号 | 620220008 |
案件名 | 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する書面での意見募集について |
所管府省・部局名等 | 経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力発電所事故収束対応室 |
意見・情報受付開始日 | 2020年04月16日 |
意見・情報受付締切日 | 2020年06月15日 |
郵便番号 | 338-0003 |
住所 | さいたま市中央区本町東2-14-18 食品と暮らしの安全基金 |
氏名 | 国際チェルノブイリ福島連盟 副会長 小若順一 |
連絡先電話番号 | 048-851-1212 |
連絡先メールアドレス |
提出意見 | トリチウムを海に流したとき、風評被害が出ると政府は心配している。しかし、多くの人が反対しているのは、風評ではなく、実害が出るからである。 放射性物質による発ガンに閾値はない。 「影響の例は見つかっていない」と政府は述べているが、見つからないのはトリチウム摂取による詳細な人体影響調査を行っていないからである。詳細な調査を行って人体への発ガンリスクを知り、処理水の放出条件を仮定して、各条件ごとに、どの地域で何人が発ガンするかを示し、それを元に、どうしたらいいかを議論すべきである。 「国内外の原子力発電所からはトリチウムを含む水が排出されているが」「健康への影響は確認されていない」と政府は言う。しかし、アメリカでは原発周辺に住む人が、トリチウムによってガンが起きたと多数の訴訟を起こしている。係争中なのに、安全と誤解させるように見解が述べられている。 遺伝子DNA中の水素がトリチウムに置き換わると、放射線が出てヘリウムになったときに遺伝子が崩壊状態になるので、修復に失敗する確率が高くなる。 トリチウムは、体内でベータ線を出してガンを発生させるのに加えて、核変換による遺伝子崩壊の発ガンが加わるので、他の放射性物質より発ガン性が高い。 それなのに、「大きな影響はない」という政府見解は、誤解を招く表現である。 チェルノブイリ原発があるウクライナで、特定非営利活動法人「食品と暮らしの安全基金」は、セシウム137による食品汚染と人体影響の調査を2012年から行っている。 1.1ベクレル/kgの食事をしている村の学校では、7割の子に頭痛が発生していた。その村にカリウム肥料を提供して、食事の汚染を0.5ベクレル/kg以下に減らすと、慢性頭痛の子はいなくなった。 「日本プロジェクト」と呼ばれる8年間の調査は、ウクライナでは新聞・テレビで100回以上大きく報道されている。 セシウム137の国際食品基準は1000ベクレル/kgである。この約1000分の1で人体影響が出ていたので、「トリチウム水の健康への影響は、セシウム137の約700分の1」という政府見解は、トリチウム水を飲むと、健康に悪影響を与えることを保証した見解と言える。 トリチウムの半減期は12.3 年なので、120年ほど貯蔵すれば、トリチウムは1000 分の1ほどに減る。それまではトリチウム量が多いので、汚染水を薄めて海に流してはいけない。 120年先までの間に経済的なトリチウム除去技術が開発されれば、その時点でトリチウムを取り除いて海に放出すればいい。 汚染水が、これほど多く溜まったのは、凍土壁の性能が危惧されていたとおりに悪かったことが一因である。もっと深いコンクリート壁を設置して原発の下を密封し、汚染水の増加を止めるのが最優先すべき対策である。 汚染水が出なくなるまで、貯水タンクを増設する必要がある。 新たなタンク群の敷地は、現在のタンク群と隣接した土地を買い求めるのがいい。 それを阻んでいるのが、非常時に作成した暫定基準の年間20ミリシーベルトを下回ると、住民を帰還させる施策である。 2011年12月に、野田首相が「事故収束」を宣言した時点で、国際基準の年間1ミリシーベルトに移行して、住民の健康を守るべきだった。 年間20ミリシーベルトでの施策が続くと、住民に健康被害が出る。 ウクライナ・チェルノブイリ連盟で「日本は年間20ミリシーベルトを下回ると、住民を帰還させている」と話すと、全員が「豊かな先進国の日本が、国際基準に反して危険な地域に住民を戻すとは信じられない」と言った。 複数の大学で放射線の専門家に「日本は年間20ミリシーベルトの基準を今でも維持している」と話したときも、同様に「信じられない」「ウクライナ政府は国際基準の年間1ミリシーベルトを守るように努めている」と言われた。 日本政府は、一刻も早く国際基準の年間1ミリシーベルトでの施策に変更して、危険な地域に住民を戻すのを止めるべきである。 そうすれば、タンク群の設置に用いる土地はいくらでもある。 ウクライナでは数年前から、チェルノブイリ観光がブームになっている。 新型コロナで国境が閉鎖されるまでは、30km圏内の立ち入り禁止区域に案内人付きでツアーし、原発を覆うドームを見る観光に、世界中から多数の人が集まって来ていた。 莫大なタンク群は、将来、フクシマの大きな観光資源になると考えられる。 政府が国際基準である年間1ミリシーベルトを守る施策にすれば、被害者を出さずに、将来を展望できるようになる。 |